2024年2月11日 世界病者の日

「世界病者の日」は、聖ヨハネ・パウロ二世によって1993年から始まりました。
この日は「ルルドの聖母の記念日」にあたります。

「世界病者の日」に寄せて      

聖ヨハネ・パウロ二世教皇によって、「世界病者の日」と定められたのが1993年の2月11日。この日は、病者がふさわしい援助を受けられるように、また苦しんでいる人が自らの苦しみの意味を受け止めていくための必要な助けを得られるように・・・と。そしてこの日は「ルルドの聖母の記念日」ですが、「ルルドの聖母」と言えばベルナデッタのことを思い巡らす時でもあります。
 ルルドの洞窟で聖母マリアのご出現を受けたベルナデッタは、1844年1月7日、スペインとの国境に近い南フランスの町ルルドに生まれました。貧しい家庭で育ったベルナデッタは、学校にさえ満足に行けなかっために読み書きもあまりできず、フランス語も正しく書けないぐらいでした。幼年時代は乳母のもとで、小さな子どもたちの世話をしたり、羊を牧草地に連れていく毎日でした。1858年2月11日、14歳のベルナデッタは妹と友達の3人でマッサビエルの洞窟のあたりへ薪拾いに出かけたとき、初めて「聖母マリア」がご出現、それから18回もベルナデッタのもとにご出現になり、18回目のご出現のときにはじめて「私は無原罪の宿りである」とご自分を明かされました。ルルドの洞窟でのマリアのご出現の恵みを通して、ベルナデッタはこの地上にありえない美しさを体験していたので、祈りに深く潜心するようになりました。またベルナデッタは、謙遜であるとともに真実を言うことにあたって誰をも恐れずに、ルルドでの出来事については確信をもって証言していました。

 私たちの医療・福祉事業の中でも、ベトレヘムの園病院は2006年頃より病棟の行事として、毎年2月11日近くに「病者の日祈りの集い」をしています。患者さん数名とパストラル職員が『祈りの間』に集まり、聖歌を歌い、ロザリオの祈りや共同祈願、病院生活の分かち合いをする短時間の集いです。共に祈り、賛美の歌を歌うことで、信頼と安らぎ、喜びが感じられるひとときであり、特に聖歌「あめのきさき」を歌っていると祈りの温もりが伝わってくるのです。たとえ病床にあっても、祈りを通して世界の人々と連帯し、神のいつくしみのうちに生かされていることを深く感じるひとときとなっています。
 また病棟では5~6年前から年間を通して、ハープ演奏のボランティアの方が病床訪問を続け、「癒しのハープ演奏」を週1回、患者様のベッドサイドで行ってくださいます。ベットサイドで演奏者が患者様の呼吸に合わせてハープの音を奏でると、ゆっくりと流れていく時間のなかで、温もりに包まれた不思議な世界を創られ、患者様にとっては大切な時となっていく、素晴らしいものだと思います。
 演奏者は敢えて患者様の知らない曲や日本に馴染みのない曲を使うのだそうです。その理由は思い出や記憶と結びつかない曲を用いることによって、自由なスピリチュアルな旅をしていただく呼吸をしていることがわかるからだそうです。患者様の呼吸に合わせて演奏をしているその空間が10分くらい過ぎると患者様と演奏者が一つになり、一体感が生まれてくる、まさに「癒しのハープ演奏」は、寄り添うケアのプログラム、スピリチュアルケアであり、言葉を使わない患者様に100% 寄り添えるケアなのです。「心のケアを」掲げているカトリックの療養型病院として、このような具体的な方法で継続した支えができるように努力してゆきたいと思います。

最後になりますが、世界病者の日に当たり、特に心身に苦しみ、病を持つすべて方が、ふさわしい援助が受けられるよう、また、神さまの限りない愛といつくしみのうちに在ることを信じて、日々を、希望のうちに乗り越えていくことができますようにと祈ります。

社会福祉法人 慈生会
                    理事長 シスター田代 嘉子